学校長からのメッセージ 保護者の皆様

吉川 一義

学校教育を取り巻く今日的状況と教育の転換

◆評議員会・育友会総会・後援会総会のお礼
 4月28日に開催されました各会合に、お忙しい中、たくさんの皆様がお集まりくださりありがとうございました。皆様の教育への関心の高さを知ることができました。日頃より、本校教育へのご理解と温かなご支援を賜りますこと、重ねてお礼申し上げます。馬場康行会長様はじめ役員、会員の皆様には、何かとお力添えいただくことが多いと思います。今後とも協働的関係にもとづくお力添えをお願い申しあげます。
◆校長になって一ヶ月
 私は、この4月より校長を仰せつかりました。新学期が始まり子どもたちと出会い、対話し、授業風景を見るにつけ、子どもたちの素直さとこの素直さに裏付けられた学びの可能性に強い希望と期待を見出しております。始業から一週間目、1年生の子に「校長先生と副校長先生は何が違うの?」と問われ、あらためて当職の役割を再考しております。子どもたちの育ちを中核に据えた大切な教育を本校教職員と共に守り・創っていくことの職責に想いを馳せました。
◆社会状況と教育の転換 — 知識基盤社会が求める能力・学力観は? −
 今日のグローバル化に伴い社会や産業や経済の構造が大きく変化してきています。この状況を支える知識基盤社会に突入した日本では、この社会を生きぬける人材の育成が喫緊の課題です。この社会を生きぬく新しい能力・学力概念について様々な分野から提案されていますが、きわめて類似した能力・学力観となっています。グローバル社会に向けて教育界ではほぼ共通した能力・学力認識になってきていると思われます。OECDの DeSeCoや PISA、文科省の「生きる力」や「キャリア教育」、さらには経済産業省の「社会人基礎力」等々、どれも力点の置かれ方は異なるものの,きわめて類似した能力・学力観であるようです。いずれの能力・学力観も、「子どもの主体的な学習活動を中心に、正解のない課題に向かって子ども同士で協働探究し、結果を社会に向かって表現し共有できる力」を求めています。
◇なぜ、新しい能力・学力が必要なの?
 この 60年で日本の産業構造は大きく変化しました。1955 年頃は第 1 次産業が中心の社会が、じわじわと第2次産業から第3次産業に移行し、現代では第3次産業に重点を置く社会になってきています。知識基盤社会の進展に伴いこの傾向はさらに顕著となるでしょう。
 どの産業であれその実施工程は、課題の発想・企画・立案から、構想し実施計画や段取りを立て、生産・実行し、流通・販売等をする経過を辿るでしょう。どの過程に従事する人が多いかをみると、中心となる産業の変遷とともに従事者の変化をイメージできます。知識基盤社会では機械化の進行に伴い「生産活動に従事する人」が減少し、「課題の発想・企画・立案する人」、「構想し実施計画や段取りを立てる人」、「流通・販売等を担う人」が増える構成に変化していくことが予想されます。この変化とともに産業従事者に求められる資質・能力も異なってきます。かつての時代では、既有の知識を習得し技能化して生産に従事することが主だった活動でした。現代社会では、正解のない課題に立ち向かい知を創造し、表現し共有する活動が主になると思われます。「生きる力」としてなぜ、思考力・判断力・表現力等が求められるのか納得のいくことですね。
 重要なのは、このような「生きる力」を子どもに培うには、教師を含めて子どもに関わる大人自身が絶えず思考し・判断し・表現する力を備えていなければならないことです。とりわけ教育を意図的に行う教師は、既有の知識を伝達するだけの「教えの専門家」から、正解のない課題に向かって自身も子どもと共に学び続ける「学びの専門家」への転換をはからなければならないわけです。これより中教審(中央教育審議会;文部科学大臣の諮問機関)が「学び続ける教師」を強調することになろうかと思います。

 さて、今回は「学力観」の転換までとして、次回は、そのための「教育のあり方」について考えたいと思います。「今は子ども、数年後には社会の形成者」となる人たちへの公教育を教師と保護者各位が共に考えるためのプラットフォーム(基盤)形成のため、しばらくお付き合いください。
                     最後までお読みくださり、ありがとうございました。