校長挨拶 令和7年度

本校の源流は、1874年10月2日に石川県集成学校附属小学校(当時仙石町に所在:現中央公園入り口付近)に発し、150年余りの歴史をもつ小学校です。名称は石川県師範学校附属小学校(1875年)、金沢大学石川県師範学校附属小学校(1940年)、金沢大学教育学部附属小学校(1951年)を経て、金沢大学人間社会学域学校教育学類附属小学校(2008年改称)へと改称されてきました。現在、1年生から6年生の児童約600名が学んでいます。
 「かしわ」葉をかたち取る校章は、昔校庭に「かしわの名木」があり、その姿に見る“雄々しさ”と“質実さ”の校風を象徴しています。1972年度以降の卒業生が記念植樹した「かしわ」の木は、かつての広坂校舎から現在の平和町キャンパスに移植され、嚶鳴会(同窓会)から贈られた「くすのき」と共に、ふれあい広場の芝生を取り囲み心地よい木陰をつくります。「かしわ」の木に込められた想いと校風は、教職員、卒業生、そして保護者に受け継がれ、子どもたちの学びと育ちへの具体の支えと成り、本校の現在を形づくってきました。この歴史を担い創ってきた卒業生一人ひとりの名前が青銅版に刻まれています。卒業生は、本校での学びを基にその後に研鑽を積まれ、多様な分野で活躍されています。

令和7年度の教育活動
昨年度、本校は創立150周年という大きな節目を迎えました。明治7年の開校以来、長きにわたり培われてきた歴史と伝統を礎に、私たちは次の時代へと歩みを進めております。
本校では、「豊かな人間性を備えた人格の育成」という教育理念のもと、「すすんで学ぶ子ども」「やり通す子ども」「みんなのことを考える子ども」の育成を努力目標に掲げ、令和7年度も、教育目標「共に生きる力を育む」の実現に向けて、さまざまな教育活動に取り組んでまいります。
「共に生きる力」とは、Society5.0に象徴される未来社会において、他者と協働し、多様な価値観の中で課題を乗り越え、新たな価値を生み出す力と考えています。一人ひとりの違いを価値として受けとめ、互いにそれを生かし合う中で、子どもたちが自ら考え、表現し、行動する力を育んでいきたいと思います。ますます進む予測困難なVUCA時代を豊かに生きるためには、このような多様性を尊重し活用していく力が重要になることでしょう。加えて、AIが台頭してくる時代と予想されますが、だからこそ人を尊重し共に生きようとする「人間愛」が、これからの社会でより一層求められていくことと思います。
その実現に向けた具体的な取り組みの一つとして、金沢大学および附属学校園との連携を生かした「金沢モデル」PROJECT HESOを推進しております。探究的な学びと実社会を結びつけながら、社会実装を見据えた課題に取り組み、社会と共に問題解決を図る「社会イノベーション創造プログラム」へとつなげてまいります。
また、異学年での学びの場である「ハーモニータイム」や、思いやりの心や人間関係を築く力を養う「ハッピータイム」など、日常の中で多様な他者と関わる機会も大切にしております。“Make Diversity, Make Harmony(多様性を受け入れ、調和を生み出す)”という姿勢を共有し、子どもたち自身がその思いを体現できるよう支えてまいります。さらには「なおありがとう」の心をもつ、「あいさつ日本一」の学校といった共通目標を軸に、非認知能力や自己調整力の育成、そして人間愛にあふれる集団づくりをめざしてまいります。
子どもたちの無限の可能性を信じ、共に学び、共に育ち合う一年となるよう、今年度も努めてまいります。
引き続き、ご支援・ご協力を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

2025年4月
校長 盛一純平