「考える子」と「学ぶ楽しさを味わう授業」


 「考える子」と「学ぶ楽しさを味わう授業」との関連性についてです。
 なぜ,「学ぶ楽しさを味わう授業」によって「考える子」が育まれるのかについて考えてみました。

 シンプルに言うと,「楽しいと,もっと~したくなるから」「楽しいと~に没頭するから」です。これは,学習に限らず他のいろいろな生活場面でも見られることです。「楽しいからもっと遊びたい。」「楽しいからもっとおしゃべりしたい。」...この当たり前のことが授業の中でどれだけ意識されてきたかを問い直してみる必要がありそうです。「ただ楽しければいい。」というものではなく,「楽しいからもっと考えたくなる」「楽しいから考え,考えるから楽しい」授業が大切と考えます。

 では,そのような授業とは...3つ考えてみました。
 1つめは「わかっていくこと」「探究すること」が「楽しさ」の中心になる授業です。この「楽しさ」は,本質に気付いていく中で得ることができる「学ぶ楽しさ」と言えます。「こういうことだったのか。」などの発見をする過程で,子どもは様々なことを考えます。教師が簡単に正解を言ってしまうような授業では,そのような「楽しさ」を味わうことができません。
 2つめは,友達の考えのよさに気付いて認め合う授業です。友達のよさに気付き,認めるに「考える」ことが不可欠になります。「なぜ,よい考えだと感じたのか。思ったのか。」という判断が存在するからです。子どもはここで考えます。
 3つめは,達成感や満足感を味わう授業です。「わかるようになった」「できるようになった」という達成感や満足感を味わうには,過去の自分と今の自分を比較して判断することがかかわってきます。まさに,自分について「考える」のです。そこから生まれる「考えたからわかった。できるようになった。」という自信は「もっとうまくなるには」「もっとわかりたい」といった新たな「問い」や「こだわり」へとつながります。

 このように考えると「本質に気付く」「他とよさを認め合う」「自分の成長を認識する」中には,「考える」行為が含まれていると言えます。また,そのような学びによって得られた「楽しさ」が「学ぶ意欲」につながると考えられます。
 つまり「学ぶ楽しさを味わう授業」を積み重ねることにより,「考える」ことが繰り返されるとともに「学ぶ意欲」が高まるのです。「学ぶ楽しさ」は「考える」ことの原動力となります。
 発見がある授業,知的好奇心が満たされる授業,受容感や安心感をもつことができる授業,満足感や達成感から自尊心や自己肯定感が育つ授業。このような「学ぶ楽しさを味わう授業」を積み重ねることによって「考える子」を育みたいと思います。