「学ぶ楽しさ」とは?

今年度の研究の副題は「学ぶ楽しさを味わう授業」です。
では,「学ぶ楽しさ」とは,どのようなこと(もの)を指すのでしょうか。

一般的に「学ぶ楽しさ」という言葉からイメージするものはとても広いと思います。
子どもの瞳がキラキラ輝いている。表情が明るい。にこにこ笑っている。等々
もちろん,このような子どもの姿は「楽しさ」を表す一つとしてよく目にします。
本校では子どもたちに「学ぶ楽しさ」を味わってほしいと考えています。
授業終了のチャイムが鳴っても,話し合いや作業をやめたくない,授業終了のチャイムが鳴っていることすら気づかないような学びを味わってほしいのです。

「学ぶ楽しさ」には,次のようなものがあると考えます。
 1 本質に気付いていく中で得られる楽しさ
   「そうなのか」「こうすればよいのか」といった発見
   知的好奇心が満たされること
 2 相互の深まりやよさを認め合う中で得られる楽しさ
   「~さんの考えはとてもいい」「いっしょだ」といった感覚
   受容感をもち,安心していられること
 3 自分の成長を認識していく中で得られる楽しさ
   「わかるようになった」「うまくできそうだ」などの思い
   満足感や達成感から,自尊心や自己肯定感が育つこと

これらの「学ぶ楽しさ」と「考える子」との関連については次回に...


「考える子を育む」を考える

 研究主題「考える子を育む」について,あらためて考えてみます。
 本校では「自立して学ぶ子ども,教師から教えられた以上に学ぶ子ども」を育てていきたいと考えています。なぜなら,自立して学ぶことができる子どもは将来たくましく社会で学んでいく人になると考えるからです。
 そのためには,子どものころから「ひと・もの・こと」から学び,仲間と協働して問題に向かい試行錯誤しながら解決する経験を積み重ねることが重要になってきます。この経験によって,より深く多面的に考えることができるようになるのではないでしょうか?
 本校では「考える子」を,新たに得た情報や知識を既有の知識と関係づけて思考・判断・表現する子としています。「考える」には,知識量を増やすだけでなく,知識と知識とつなぎ合わせていくことが大切になります。「考える」行為は,目的意識が明確になったとき,困難に遭遇したとき,葛藤や矛盾を感じたときに起こります。つまり子どもは「自らの思いから生じる必然性」によって深く「考える」ようになるのです。
 さて,本校では昨年度からの実践をもとに「考える」側面を次のように明らかにし,「考える子」を次のように定義しました。
「考える」の側面
 1 対象を多角的な視点からとらえ直すこと
 2 対象をさまざまな関係の中に位置づけること
 3 明確になっていないことについて,はっきりしていることをもとに推論すること
 4 個別事象の解決から学んだことを,さまざまな場で用いること
 5 自らの考えを表出し,自分自身にフィードバックし,深めたり拡げたりすること
「考える子」の定義
 ○多角的な視点から,さまざまな関係の中で対象をとらえ直し,見えていないことまでも推論する子
 ○解決したことや学んだことを,さまざまな場で用いる子
 ○自分の考えを他者と分かち合い,深めたり拡げたりする子
 
 昨年度の実践から見えてきた「子どもの姿」をもとに今年度の研究はスタートしています。
 今後の二学期の実践においても,授業における「子どもの姿」の見取りをもとに「考える子を育む」ために私たち教師ができることを探っていきたいと考えています。