3年1組 社会科「わたしたちの住む町のりんご作り」より 研究発表会1日目



まずはじめに、本日、お忙しい中、授業を参観、懇談会に参加してくださった皆様に心から感謝を申し上げます。
私が、本校へ来てから、初めての発表会での授業でした!
本日も、参観できない事情が様々にあったとお聞きしています。
そんな中、本校に参観に来てくださった事に、心から感謝しております。
「本日、とても参観したかったが、悪天候の為に船が出ないので、参観できそうにない。飛行機のキャンセル待ちをしているので、何としても明日には行きたい。」と、隠岐の島から連絡を下さった方がいらっしゃいました。
わざわざ連絡を下さった、その方の真心に応えるためにも、ちょっと真剣に、本時を振り返って、考察をアップすることにしました。

【ちょっと真面目に考察】
①「真っ赤なりんご」と、②「まばらな色づきのりんご」
それぞれのりんごから受けるイメージは、

①『葉とり、真っ赤なりんご』 : おいしそう、しっかりと育てている・・・ 等々
②『葉とらずのりんご』 : おいしくなさそう、世話が足りない・・・ 等々

子どもたちは、りんご園見学で、数万個の一つ一つのりんごを、葉を取り、玉回しをして、色づき良くしていることに感動していた。
よって、予想されたとおりの反応だった。

Yさんが、昔は①のりんごを作っていたが、今は②のりんごを作るようになったという事実は、子どもたちの問題意識を引き出すことに成功したようだった。
「えっ?!」
と、一瞬反応はするが、次々に、
「わかった!」
「その理由が言えます!」
と、自分なりの考えを述べようとする子どもたち。

ここで慌てず、全体を巻き込んで課題をつくった。
そして、青森県から送ってもらったばかりの、実物を目の前で見て、触って、においを嗅いぎながら、考える子どもたち。
予想を話し合う段階では、実物を手に取り、掲示されている学習の足跡を指しながら、考えを紹介しあう。
ここでは、本当は、もっと話し合わせたかった。
問題意識を高める段階で、子どもの発言がとどまるところを知らず状態になり、予定よりやや時間がかかったので、その分、予想を話し合う時間がへったのである。

しかし、それでよかったか、とも考える。
さらっと流せすこともできたが、そうすると、やらされる学習になる恐れがあったからだ。
子どもは、「今日の課題はこれです!」と言えば、たいていの場合は素直に従って学習を進める。

しかし、大事なのは、追究し、探究する意欲を引き出し高めることである。
矢を遠くまで飛ばそうと思ったら、弓を充分に引き絞らねばならないのと同じである。
そんな学習を積み重ねないと、学習に自らのめり込んでいく子どもは育ってこない。
残念ながら、テンポよく、サクサクと先生の指示に従う子に訓練するだけでは、授業にはなっても、自ら楽しんで学ぶ子は育ちにくいと思うのだが、どうだろうか。

ともかく、初見では、②のりんごに対して否定的な印象の意見が多かった。
しかし、予想についての話し合いになると、肯定的な意見がでてきた。
「考えること」と「他の意見を聞く」ことで、変化したのである。

・食べる人には人気があるのではないか。
・Uさんは、食べる人に喜んでほしいという願いをもっていた。食べる人 
 が、そちらがいいと思ったのではないか。
・よりおいしいのではないか。
・葉をとらなくても同じおいしさなのではないか。
・実験的に作っているのではないのか。

という意見である。

ねらい通り、子どもは既習を生かして考え、表現することができていたと思う。
さらに、他の予想に対して、「違うと思う。」という発言が出だした。
これは、自然に発言が絡み合っていく展開であり、本校の研究テーマからしても、願っても無い状態である。
では、存分に話し合いをさせればよいか。
今日は、そうはしなかった。
今日は、予想を話し合わせるのが目的ではないからだ。
どの意見も、ちゃんと根拠があった。
実際のYさんの「願い」に気づく時間が欲しかった。
そのままにしていたら、間違いなく、予想について何時間も話し合いは続いたと思う。
やる気に火がついた子どもたちには、そんなことは朝飯前である。

今回は、なんと、Yさんが沢山の『葉とらずのりんご』を送ってくださった。
比較のための赤い『葉を取って育てたりんご』も一緒にである。
葉とらずのりんごを、みんなに食べさせ、生かしたかった。(実感を伴った学びができる)
『葉とらずのりんご』への思いが書かれた手紙も用意してあった。(Yさんの言葉として予想を検証できる)
そこで、お母さん方にもお手伝いいただいて、その場でりんごを切った。
みんなで食べながら、予想を検証した。

・本当に、おいしいのか?
・赤いりんごと変わらない味なのか?
・まずいのか?

思い思いに、味を確かめてみる。

おいしい!!
(全員がおいしいと感じるほどに、『葉とらずのりんご』はおいしかった)

ここで、まばらな色づきのりんごが、プレミアム『葉とらずのりんご』であることを知らせる。
『葉とらずのりんご』の作り方やすごさについても、Yさんのお手紙をもとにして話した。
Yさんは、お客さんの願いに応えて、見栄えを気にせず、本当に安心・安全・健康でおいしいりんごを作っていたのである。
しかも、超プレミアム級のりんごをである。
こんなに貴重な機会をいただいた、Yさんと、りんごを切って下さった、お母さん方に感謝である!
とても、私一人でできなかった学習であった。
最後に、本時の反省点と改善案について記したい。

【反省点】Yさんの願いがわかる資料(手紙やVTR)を活用できなかったこと。
 子どもは最後まで、りんごをほおばり続けていた。
おかげで、『葉とらずのりんご』についての話が、少し長くなった。
 結果、子どもは、「味のよさ」「りんごの値打ち」「Yさんは意図的に作っていた。」という点は理解できたようだったが、Yさんが食べる人の願いに応えたくて、収入が減っても手間が増えても『葉とらずのりんご』を作っているということを、教師が語ることになった。

【改善案】
①授業前半に教師がもう少し出て、後半の時間を確保する。
       +
②Yさんのお手紙を、読ませて活用する。
(検証方法は、三種類準備していた)
などが考えられる。

【懇談会より】
(1)板書に本時のまとめを書かなかった??
  授業後の懇談会で、私は、参観の先生方に、「板書に、本時のまとめを書かなかったが、時間が足りなくなかったのだと思っていませんか?」と問いかけた。
→「まとめ」ができなかったのではない。しなかったのだ。まとめをしない方が良い場合の授業展開だった。
 ベテランの先生方ならば、お分かりになると思う。
 教科の特性にもよるが、まとめをしない方が良い課題や授業は意外に多い。「授業には、まとめが必要」と思い込んでいる学生や若い先生が多いのに驚いた。
 まとめは必要ではないが、授業終盤の工夫はさらにしたいと思う。

(2)『葉とらずのりんご』の学習は難しかったのではないか??
 →3年生にしては、難しかったし不必要な学習という意見もあるかもしれないが、それにチャレンジすることで、子どもの知的好奇心が湧き上がり、既習をフル活用して思考・判断・表現することができた。私はメリットのが大きい学習であったと考える。今日は、限られた時間で、今の彼らにできる限りの学びをしていた。
 本時は「難しい」ではなく、「面白い」ではなかったか。
 子どもたちは、とても意欲的に学習にとりくみ、既習を本時の資料とつなげて生かし、思考・判断・表現をしながら、新たなものの見方や考え方を獲得しては喜び、さらなる疑問を抱いていた。

★社会科は、様々な学習スキルを総合的に活用して学習を進め、公民的資質の基礎を養うことを目指す教科である。人間は困難にぶち当たってこそ育つ。「失敗も無駄もない。全てが価値ある学びではないか。何と楽しいことか。さあ、行くぞ。」子どもと共に、そういう学び、生き方をできたら、未来は限りなく明るくなるはずである。

(4)他の授業の流し(あまり好きな言い回しではない)の方が、よかったのではないか。(そのような思考の方を想定して)
→他の授業の流しは、もちろん有り!である。「この流しがベストなのです!」と、そんなものはない。桜梅桃李、臨機応変、様々な条件と何に重点を置くかで、授業の展開は無限である。

さてさて、じっくりと本時の反省をしていたら、なんと教育論ぽくになってきてしまったので、今日はここまで。
明日は、続きの授業が待っている。
限られた時間だが、少し子どもに任せて、話し合いを多めにとってみようかと考えている。
発表会で、子どもに任せるのは勇気がいるが、どうなるかという興味の方が上だ。
そして、明日のラストは・・・。
(明日に続く)