6年理科「変わり続ける大地」
この単元は、土地が水のはたらきだけではなく、火山の活動や地震によっても大きく変化することを捉えることがねらいである。学ぶ楽しさを味わうための手だてを2つ考えた。
1.不足感・違和感に気づかせるための手だて
地震ハザードステーション(J-SHIS)を用いて、森本・富樫断層帯付近で地震が発生したときにどれほどの被害が出るかを考えた。子どもたちに自分の住んでいる地域に印をつけさせることで、地震の揺れや被害を自分のこととして捉えることができるようにした。さらに、他の地域で地震が起きた時の揺れの程度から自分の地域の揺れの程度や被害を推論できるように、別の地域を取り上げ、考える根拠として提示した。
写真は砺波平野西部断層帯付近の様子である。実際の授業ではこの他にもいくつか別の地域を提示し、どんなところで揺れが大きくなっているかを推論した。子どもたちの考えは以下の通りである。
① 海や川の近くは揺れが大きくなっている。
写真であれば、ちょうど赤紫色になっているところが最も揺れが大きい。ここは河北潟という湖がある場所だ。この地域は昔、干拓事業が行われた地域であるため、地盤が非常に弱く地震が起きれば揺れは比較的大きく、被害も大きいことが考えられる。子どもたちは、海や川の近くは水っぽいので、土地もやわらかくて、被害も大きくなると考えていた。なかなかするどい考えをもつことができた。
② 震源からの距離に揺れの大きさは関係がない。
震源に近ければ近いほど、同心円状に揺れが大きくなると考える子どももいたが、いろいろな地域の様子を見ながら総合的に考えてみると、そうとも言い切れないのではないかと推論していた。したがって、震源からの距離よりも、川付近の揺れが大きいことから、土地がやわらかいかどうか、つまり地盤の固さに子どもの意識は向いていった。
このようにいくつかの地域を提示して考えさせたことで、地震の揺れについての理解が深まっていったようだ。友達とかかわることで、お互いの考えを補っていったり、納得し合っていったりする姿が見られた。
それから自分の住んでいる地域(金沢)での揺れや被害の大きさを①や②を根拠として推論した。子どもたちの手元には自分の住んでいる地域が書かれた地図が手元にあるため、実感を持ちながら学習に取り組んでいた。(用いた資料は、上に示した金沢市の地図である)。ここで、二つ目の手だてである。
2.学びの実感をもたせるための工夫
子どもたちの地図に合わせて、左の写真を透明シートに印刷した。子どもがもっている地図の上からこの透明シートをかぶせると、自分の地域の揺れの大きさが一目でわかるようになっている。班毎に透明シートを配布して、自分の地域の揺れの大きさを調べた。
「ああ、おれのところは赤紫色だ」「私のところは黄色だから安心だ」
という声が聞かれた。確かに赤紫色のところより、黄色のところの方が揺れ自体は小さいが、それでも黄色でも5強である。このことを気づかせることで、
「地震が起きて安全なところはないんだ」と考える子どもが出てきた。
まさに、自分の地域で考えることができたからこその気づきではなかったかと思う。学びを自分のこととして捉えることで、学ぶ楽しさを味わう子どもの姿が見られた。
地盤の固さについて、もう一歩踏み込んでいけばよかった。子どもたちは地盤の固さが揺れの大きさの要因になっていると推論していただけに、すぐに地盤の固さによる揺れの違いについて考えを深められればよかった。