【複式】体育 タグラグビーを楽しもう
1対1のトライ合戦を発展させて,3対3のゲームを取り入れることにし,ルール確認後,ためしのゲームを行った。子ども達の様子から,ボールを前に投げたりボール保持者より前に出ていたりしてルールに慣れない面が見られたので,(合言葉①)タグを取られるまで前に進む,(合言葉②)パスをしたらボール保持者の後ろに行く,を確認してゲームを行い,少し動きに慣れてきた。
本時では,相手をかわしたりパスをつないだりしてトライをめざす楽しさを味わってほしいと願い,課題を<相手をかわしたりパスをつないだりしてトライにつなげよう>と設定した。授業後,VTRを視聴してふり返りシートに子どもの動き・教師のかかわりを記入し,その際に子どもの動きをコート図に図式化した。次に示すのは,得点の局面を図式化した一部である。
相手をかわしてトライしようとする動きが見られ,これは,相手をかわす動きが子どもにとって魅力的であり,かわせるかどうかの揺らぎの中でやってみたいという意欲につながっていると考える。
ゲーム1後,動きを選択できるモデル図を提示したが,これは,“相手をかわす動き”と“ボールをつなぐ動き”に分類したものである。
この中から,子どもは,動きを選びながら試行した。ゲーム2では,Lのように角度をつけて動いたり,スペースを見つけてVで切り込んでトライをねらったり,ゲーム1の直線的な動きに比べて曲線的な動きを交えてトライを取ったりして,相手をどのように動いてかわすかを考えている様子が見て取れる。
これは,“相手をかわす動き”のモデル図をもとに,これまでの自分の動きを見直し新たな変化をつけているといえる。ふり返りでは,「パスを確実にして,ボールを落とさないようにトライにつなげることができた。相手をよけ,(A)の動きでトライできた。」「3回れんぞくトライができてうれしかった。後半は,カーブをつけてうまくかわすことができた。」と記述し,自分の動きを自覚していることが分かる。
ただ,本時で設定した“相手をかわしたり”と“パスをつないだり” する動きは,矛盾するところもあり,2つを両立させることが難しいと感じた。Sの動きで相手をかわしてボールを保持しているとき,ボール非保持者は,ボール保持者より前に動いている。これは,ボール保持者の動きが複雑化し,ボール非保持者の動きがはっきりとイメージできない状況であると考えられる。この段階では,子どもの意識は動きに変化をつけてかわしたいという思いが強く,教師と子どもの思いのずれを感じた。
パスをつないでトライしたいという思いを持っている子も多く,今後“パスをつなぐ”局面をつくるルールの変更や場の設定の工夫が必要である。例えば,走りぬけるスペースを限定するために,今回の3対3から4対4の対戦を取り入れる,ボール非保持者がどのような場所に動けばよいか,イメージできる映像の視聴と“相手をかわす動き”モデル図を関連付ける場を設定することも考えていていきたい。