6の1 国語 「太一はクエを瀬の主だと思ったのはどうしてか」
海の命を一人読みして、どうしても分からないところをみんなに質問させたところ、この課題が生まれた。この課題について考える前に、「瀬」とは何か?を聞いてみた。さんずいがあるから、海や水に関係している言葉であることは容易に想像できた。「瀬」は、比較的浅いところで流れが速い場所と辞書にあった。反対語は「淵」。言葉の意味を知ると、読みのヒントになることがある。クエはそんな「瀬」の主なのである。子どもの読みは、クエの容姿から、「主」を読んでいた。「岩のような魚」、「突き刺したもりを何人がかりで引こうとも動かない」、「150キロをゆうにこえる」などの叙述から、「主」のイメージを捉えていた。
『そんな「瀬の主」を太一はどのように思っていたのか』
このように子どもに問いかけたところ、「クエを倒したい」「父のかたきをとりたい」などと発言していた。太一にとって、クエは父を奪った、まさに天敵なのだ。さらに、漁師にとって魚を獲ることは使命である。なのに、クエの様子はどうだろう。
ある子どもはクエは「心が広い」、「無気力なのではないか」と発言した。
これはどういうことだろう。太一はクエを「獲りたい」と思って気持ちは高ぶっているのに、相対するクエからは、そんな感情はほとんど感じられない。この気持ちのギャップはどこからくるのか。太一がクエを「瀬の主」と表現した理由は、どうやらこのあたりにありそう・・・。
次回の授業が楽しみだ。