1年 生活「なつだ あそぼう」


季節が春から夏へと変わり,蒸し暑い日が続いた頃,子どもたちと「夏らしい遊び,夏ならではの遊びをしよう!」と話し合い,決まったのが「シャボン玉遊び」だった。

シャボン玉遊びは,多くの子が経験したことのある遊びである。
そのシャボン玉遊びを通して,シャボン玉遊びそのものやシャボン玉遊びに使う物を工夫することで,シャボン玉の不思議さや面白さに気付き,友達と遊びを楽しむことができるようにすることをねらいとし,実践を行った。

また単元を通して,子どもが「学ぶ楽しさ」を味わうために以下の手だてを設定した。
⑴ 思考と表現をくり返す場の設定」・・・「自分だけの○○シャボン玉を作ろう」という単元全体の大きな目的を共有する
⑵ 伝え合い交流する場の工夫・・・作ってみたい「○○シャボン玉」に対する思いや願いごとにグループを編成する
⑶ 目的を意識させたふりかえり・・・毎時間,自分の活動をふり返り,自分の満足度をシールで貼り表す
これらの手だてを講じることで,「自分だけの○○シャボン玉」を作るために試行錯誤し,シャボン玉遊びに没頭する楽しさを味わうことができると考えた。

○「階段のシャボン玉を作りたい!」という願いをもったU児の場合
U児は,ストローを階段状にし,角に切り込みを入れてシャボン玉作りをしていた。その際,「やってみないとわからない!」「こういう考えにしてみた!」と独り言を言いながら活動する様子が見られた。何回やってもうまくいかなかったが,何度もくり返し試すことができるようにと置いてあったストローを見て,「いいこと考えた!」と言うと,そのストローを3本合わせて吹いた。すると,シャボン玉が一気に出た。「これを何本もつなげたら,どうなるんだろう。」と,次は7本合わせて吹いた。すると,もっとシャボン玉がたくさん出たので,「全部つなげたら,どうなるんだろう。」・・・と,自分の作りたいシャボン玉に向けて,次々と課題を見つけ,活動に取り組むことができた。U児は「階段シャボン玉」を作るという目的のもと,ストローの形,切り込み,本数を工夫し,試行錯誤しながらシャボン玉遊びに没頭していたと言えるのではないか。

○「十字架槍のシャボン玉を作りたい!」という願いをもったT児の場合
「形グループ」」にいたE児は「チンパンジーの形のシャボン玉を作りたい」という願いをもっていた。いくつかのシャボン玉を作る中で,できたシャボン玉を「ゆきだるまや!」と表現した。そのことから,同じグループにいたT児は,「難しい形のシャボン玉はできないけど,丸の形のシャボン玉ならできる。だから,今度は,十字架槍じゃなくて,スマイルのシャボン玉を作りたい!」とふりかえりに書いていた。思いや願いの似通った者同士でグループを編成することによって,「形」という視点を強くもちながら活動することができ,E児の発言につながったのではないかと考える。同じ視点をもつ者同士だからこそ,こだわりをもってシャボン玉遊びにかかわることができ,またその友達の発言から「シャボン玉には,できる形とそうではない形がある」という新たな気付きを生むことになった。


このように,子ども一人一人の姿を丁寧に見取ることを,今年度は特に大切にしてきた。
その中で,手だての有効性について,目の前にいる子どもの具体的な姿から手ごたえを感じることもある。
しかし,その一方で,授業者一人で見取るには,やはり限界があることも同時に感じている。

だからこそ,子ども一人一人の思いや願いを言葉だけでなく絵や動作化などの表現方法を使い,事前に丁寧に見取っておくことが必要であると感じた。
また,グループごとに得られた気付きのうち,どれを全体に広めるのかを具体的に把握し,意図的に指名できるようにしておく,全体で共有するだけでなく,グループ同士をペアにしたり,付箋などを使って気付きや考えが残るようにしたりするなどの発表方法の工夫も,子どもの姿を見取るために有効であるのではないかと考える。

今回の学びを生かし,子どもが学ぶ楽しさを味わう姿を丁寧に見取りながら,さらに学ぶ楽しさを味わうことができるように実践を積み重ねていきたい。


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指導案