3年道徳 「家族への思い」
本時では「ちびまる子ちゃん」(日本標準3年)の資料から、家族への思いについて考えました。
学ぶ楽しさを味わうための手だてとして3つを意識し、その場面での子どもの姿を見取ることにしました。
❶つぶやきを拾って課題につなげる
導入では、事前アンケートの結果を提示することで子どもの反応をとらえ、課題に生かそうと考えました。
アンケートは次の2点。(今回は、家族を大人だけに限定した)
「最近、家族にしかられた」 YES 27人 NO 7人
「家族とケンカしたことがある」YES 7人 NO 27人
この結果を見た子どもたちからは、「え~っ!!」という大きな声があがりました。
「大人とケンカするなんて信じられない」
「叱られていない人もいるんだ!」
「え~っ!!」の意味を問うことで、自分の経験や思いとの違いを意識しながら本時の課題につなぐことができました。
❷アスプロ思考で考えを揺さぶる
つい、母にきつく言ってしまったことを後悔し、ため息をつくまるちゃんの気持ちに共感する子どもたちでしたが、事前アンケートにもあるように、子どもの中には家族でケンカをした経験もあるため、「言いたいことが言えるのが家族なんじゃない?」と、まるちゃんの行為を肯定する発問を投げかけました。
子どもたちからは、
「たしかに、言いたいことをがまんするとすっきりしない」
「モヤモヤするから言えばいいんじゃない」
と、自分の経験に基づいて肯定する意見が出始めました。
しかし、そんな中納得できない表情の子どもも見られたため、その表情について聞いてみました。
「でも、いくら家族だって、言い過ぎはよくないと思う」
「家族だって、きずつけちゃいけない」
揺さぶりのあとの「でも・・・」に込められた子どもの意見こそ、価値に迫るものになると感じました。
❸自分の生活をじっくりふり返る時間をとる
後段で自分の家族を見つめ直すため、顔写真入りのワークシートを用意しました。
自分を支えてくれる家族の存在を意識しやすいと考えたからです。
子どもたちにとって、写真ははずかしかったようですが、それぞれが自分の家族を思い出すには有効でした。ワークシートでは、自分と家族一人一人を双方向の矢印でつなぎました。
「自分にとって家族はどんな人か(→)」
「家族にとって自分はどんな子どもか(←)」
(→)の思いを書くことで、家族に「ありがとう」の思いがふくらみました。
(←)を書く際には、インタビューではなく、自分を客観的に見ながら、「たぶん~思われているだろう」と想像して、書くことにしました。
初めは難しそうでしたが、例を紹介すると、鉛筆が進むようになりました。
「たぶんお母さんからは、がんばりやだと思われている」
「ゲームばっかりしている子」
「おばあちゃんにとってわたしは、お手伝いをよくする子」
「あわてんぼうで心配をかける子」
3年生にとって自分を客観的に見ることは、とても難しいことでしょう。
しかし、このような機会を意識して作ることで、自己理解を深めていってほしいと思います。