5年1組国語「大造じいさんとガン」

 研究発表会では,「大造じいさんとガン」の単元で<3場面での大造じいさんの気持ちとその変化を読み取ろう>という課題で授業を行いました。
まず,大造じいさんの気持ちが表れている叙述から,一人学びしてきたことを発表させていきました。発表していく中で,子どもたちは「うまくいくぞ。」という同じ叙述に着目し,『絶対とれると確信している。』や『緊張感が伝わってきます。』,『期待感が表れています。』など様々な解釈を伝え合いました。これは前時までに,大造じいさんの気持ちを子どもたちと一緒に色分けしながら授業を進めてきこそ表れた姿だと見取りました。
・残雪をいまいましく思う熱い気持ち   …赤色
・残雪をとってやるという期待感や自信  …オレンジ色
・ドキドキする緊張感や戸惑い,驚き   …水色
・残雪へ考えを改めた気持ち(感動や感心)…緑色
 また,「東の空が真っ赤に燃えて,朝が来ました。」の叙述から『大造じいさんの心』や『やる気』,『気合い』を感じるという読み取りをする子たちがいました。単元の初めに大造じいさんの気持ちが表れた叙述については会話文や行動が表れた文,情景描写があることは告げていました。だから,1場面でのO児が「秋の日が,美しくかがやいていました。」の文から『大造じいさんの気持ち』が表れているという意見から『ドキドキする気持ちが伝わってきます。』や『楽しみが感じられます。』と意見がつながっていきました。1場面を受けて2場面でも学習をしてきたことで,本時の3場面での読み取りへつながっていったように感じる瞬間でありました。友達の意見に耳を傾けて対話してきたことで子どもたちが学ぶ楽しさを感じとったように見取りました。
 本時の山場では,「大造じいさんの気持ちが大きく変化したところはどこか。」を子どもたちに問うてみました。そして,個々が思う変化の大きい部分にネームを貼る手だてをとりました。すると,「が,なんと思ったか,再びじゅうをおろしてしまいました。」(10人)と「大造じいさんは,強く心を打たれて,ただの鳥に対しているような気がしませんでした。」(18人)の二箇所に意見が割れました。そこでお互いの意見を交流し合うことにしました。
『前の部分も後の部分も同じ感動だから,はじめに感動したところだと思います。』
『前の部分は感動をしているけど,後の部分の方が大きく感動しているから,こっちだと思う。』
『強く心を打たれてと書いてあって,今までで一番感動しているから,後の方だと思います。』
 上記のようなやりとりの後に,N児が『友達の意見を聞いてやっぱり後の方に意見が変わりました。』と自分の考えを更新する姿が見られました。交流後にもう一度どちらかを問うてみると,前の方だと思っていた子が後の方にネームを移動させ,考えが変化していきました。
 この後,子どもたちに《前の方が撃とうとしていたのに撃つのをやめたから変化が大きいのは前じゃないか》と揺さぶりの発問をしましたが,子どもたちの思いは変わらないままでした。授業後に感じたことでありますが,教師が出なくても子どもたちで交流して話し合って考えを導き出したことに揺さぶる必要はなかったと感じました。子どもたちは十分に私が考える以上に話し合いの中で話し合ったり,聴き合ったりする中で一人一人が考えをもつことができていたように感じました。
 授業後の整理会では多くの先生方から意見をいただき,ありがとうございました。その中で,特に心に残っているのは,子どもたちは学ぶ楽しさというよりも学ぶ心地よさを味わっていたように見えたというご意見でした。学ぶ楽しさのレベルに達することができるように,子どもたちが叙述から感じとったことをもっと自分自身の学びとして言葉で話したり,語れたりする姿を目指して研究を進めていきたいと思います。