5年家庭科 レッツ クッキング Part2 ~ごはんとみそ汁~(その1)

 この題材では,米飯とみそ汁の調理をします。
 出汁は煮干し,みそは合わせみそ,実はうずまき麩とわかめです。実にうずまき麩とわかめを用いたのは,包丁を用いることなく調理できるため,みそ汁の調理手順に焦点化して調理を行うことができると考えたからです。また,どちらも火を通すために時間がかからず手早く調理できます。そのため,45分で調理を行うことができ,1回だけではなく何回か調理を行うことができます。わかめを長時間煮ると色が変わることから,実によって鍋に入れるタイミングが異なることを学ぶことができます。シンプルなみそ汁を学校で学習し,家庭に合ったオリジナルみそ汁を家庭実践することができると考えます。

 みそ汁の学習を下記のような学習計画で行いました。
  ・1時…2種類のみそ汁を試食,違いを考察,調理するみそ汁(ゴール)の明確化
  ・2時…みそ汁の調理計画(試し調理)立案
  ・3時…みそ汁の調理(試し調理),考察
  ・4時…みそ汁の調理計画(本調理)立案
  ・5時…みそ汁の調理(本調理),考察
  ・6時…家庭でのオリジナルみそ汁づくり計画


 1時は2種類のみそ汁の試食を行いました。どちらも教師が調理したものです。違いは煮干しの下処理の有無,2つの実を入れるタイミング,煮る時間です。どれもみそ汁を調理する上でポイントとなるもので,調理実習を通して指導者が考えてほしいと思ったものです。2種類のみそ汁を試食し違いを共有することで,調理したいみそ汁(ゴール)を明確化することができます。
 ですから,Aは煮干しの下処理をせず,2つの実を同時に入れ,みそを溶いた後5分間煮込みました。Bは煮干しの頭とはらわたを取り,実はうずまき麩を先に入れ,みそを溶き入れる直前にわかめを入れ,みそを溶き入れた直後に火を消しました。
 この2種類のみそ汁を“見た目”“味”“香り”の観点で試食し考察しました。ここで気をつけなければならないのが「おいしい」という言葉を出すことです。子どもたちは発言の中で「おいしい」という言葉を使うと思います。しかし,その「おいしい」という言葉をできるだけ取り上げず「おいしい」と感じる理由を問うようにします。「おいしい」というのは嗜好が大きく反映する言葉です。つまり人によって「おいしい」の基準は異なるのです。ですから,「おいしい」という言葉以外で表現しないと噛み合わない話し合いとなってしまいます。
 Aの方が色が濃くなり,実もグチャグチャとは言いませんがビヨビヨとした感じになりわかめは茶色っぽく,味も濃く魚の生臭さを感じます。みその香りもあまりしません。Bの方は色が黄色っぽく,味があっさりとし,みその香りがします。わかめの緑色っぽい感じがします。調理した指導者はこのように感じるのですが,子どもたちの感じ方はそれぞれ違います。魚の生臭さは感じるようですが,観点を与えたにもかかわらず,みその香りについて考察した子は皆無でした。みそ汁の色については大体同じように感じていたようですが,わかめの色に気づいた子はわずかでした。味については意見が分かれました。
 好き嫌いはいろいろあるだろうが,今後の調理実習でBのみそ汁をめざしていくことを確認し,調理していくことにしました。みそ汁に対する興味関心が高まった1時間でした。