研究主題 「考える子を育む」
研究主題 「考える子を育む」
研究発表会まで、あと2週間となりました。発表会に向け、本年度の研究概要についてご説明します。始めに、研究主題「考える子を育む」についてです。本研究主題は平成26年度からの3年次の研究主題であり,今年度が最終年度となります。
⑴なぜ「考える子」か
「2011年に小学校に入学した子どもたちの65%は,大学卒業後,今は存在していない職業に就くであろう」。文部科学省から出された「論点整理」にも引用されているこの文にもあるように,これからの社会は,先を見通すことがますます難しくなってきています。そのような社会を見据え,私達が育てていきたいと考える子どもは,「自立して学ぶ子ども,教師や大人から教えられたことにとどまらず,教えられたこと以上に主体的に学ぶ子ども」です。学校社会を巣立った後も,先を見通すことの難しい社会に対応し,主体的に社会に関わっていく人になってほしいと考えるからです。
グローバル化や情報化が進展するこれからの社会で子どもに必要なことは,多様な情報の中から,必要な情報を吟味・選択し,目的に応じて活用できることです。そのために必要なことが「考える」ことです。社会の変化に受け身で対処するのではなく,主体的に向き合って関わり合うこと。解き方が定まっていない問題に対し,自ら問いを立ててその解決を目指すこと。他者と協働しながら新たな価値を生み出していくこと。そのすべてに必要とされるのが「考える」ことです。「考える子」とは,新たに得た情報や知識を既有の知識と関係付けて思考・判断・表現することができる子であると言えます。
⑵「考える子」とは
2年次までの研究実践から,「考える」には次のような側面があることが明らかになりました。
① 対象を多角的な視点からとらえ直すこと
② 対象をさまざまな関係の中に位置付けること
③ 明確になっていないことについて はっきりしていることをもとに推論すること
④ 自らの考えを表出し 自分自身にフィードバックし 深めたり広げたりすること
⑤ 個別事象の解決から学んだことを さまざまな場で用いること
これらの側面をもとに,本校では「考える子」を次のように定義しました。
○多角的な視点からさまざまな関係の中で対象をとらえ直し,見えていないことまでも推論する子
○自分の考えを他者と分かち合い,深めたり広げたりする子
○学んだことや学び方を自覚し,さまざまな場で用いる子
研究発表会では,各教科等の授業を通して,上記のような「考える子」の姿を提案いたします。
⑶「考える子を育む」には
子どもは,「わからないことを解決したい。」という,子ども自身の思いから生じる必然性によって,より深く考えます。そのため,子どもの学びを,誰かから与えられただけの「他人事の学び」から,子ども自身が「考えたい」という思いをもった「自分の学び」へとしていく必要があります。
また,「育む」という言葉には,教師が子どもに意図的に働きかけることだけではなく,子どもの育ちを「支えながら待つ,見守る」ことも大切にしたいという,思いや姿勢が込められています。子どもが学びの中で「解決したい」と思うことや,解決するために考えた方法は,教師のねらいや意図に収まらない場合もあるかもしれません。また,解決の方向が違っていたり,解決することにつまずいてしまったりする場合もあるかもしれません。そのような場合でも,子どもの思いや考えを大切にし,子どもが自分の力で解決することを教師が支援していくことで,主体的に「考える子」が育まれていくと考えます。