研究全体会


3月2日、次年度の学校研究に向けて、理論部を囲み全職員で、何を大切にしていくのか話し合いました。
これまで理論部を中心に研究の骨格について何度も検討を重ねてきたのですが、今回は会議冒頭に理科部の若い3名から、「私たちの理解したのはこういうことなのですが…」と前置きして、問題提起がありました。上意下達のお仕着せ研究ではなく、「自分たち全員で創っていく子どものための研究」なのだという事実を、全職員が再認識する会になりました。
2時間に及んだ会を閉じても、すぐには誰も席を立とうとははせず、「子どもが主体的に学ぶというのは…」「学ぶ楽しさは誰かから与えられるものではなく…」「子どもの内面を見取っていくには…」など、あちこちで議論が巻き起こりました。
主体的に学ぶ教師だからこそ、協働して学び合う教師集団だからこそ、主体的に学ぶ子ども、協働して学び合う子どもが育まれるのだと、改めて感じるひと時になりました。
この学びは、次年度を待つことなく、明日からの1時間1時間の授業にも反映されていきます。


2015年度 研究総括

☆今年度の研究実践を通して,「考える子を育む」ことができていたか
12月9日 研究全体会で,以下のような総括を行いました。
これまでの研究実践,研究発表会参加者からのアンケート,共同研究者・研究協力者からの指導が,総括のよりどころです。

 子どもは,魅力的な(興味のある)題材との出合いによって,「問い」を多様な方法で解決していく楽しさを感じていた。また,自分の学びを自分の生活と結びつけて考えることができていた。
 また,学んだこと,考えたことを「伝えたい」という思いをもって話し合いを行い,協力して学ぶ中で「できる」「考えが深まる」ことを実感していた。
 そして,「わかるようになっていく(できるようになっていく)」過程を実感しながら「わかる(できる)ようになる」楽しさを味わい「こだわり」をもって学ぶようになった。
 このように「学ぶ楽しさを味わう」ことで,子どもの学ぶ意欲は高まり,子どもは自分の思いをもとに曖昧な部分を明確にしようとしていた。
 また,主体的に事象や自分の生活と向き合い根拠を探っていく過程で,「問い」や「こだわり」を解決する方法を「考える」ようになっていった。
 学んだことを自分で選択し活用する場面においても,相手意識をもって伝え合うようになった。さらには,協働で学ぶ意識をもち,自他の比較から,自分の考えを更新することができるようになっている。
 このことから,「学ぶ楽しさを味わう」ことで「考える子を育む」ことができつつあると言える。
 

 「考える」と「考えさせる」の違いとして,子どもに必要感や必然性があるかがポイントとなることや,「考えている」ことを子どものどのような姿から読み取るのかなど,今後の研究実践に向けての課題も多くあがりました。
 「考える子を育む」ことは一朝一夕にできるものではありません。日々の学習を通して,「考える」経験,「考えてわかる(できる)」経験を積み重ねることが重要になります。そのために,わたしたちがしなくてはならないことを今後も模索する必要があると改めて認識しました。
 「問い」や「こだわり」をもとに対象,他者,自己と向き合い「学ぶ楽しさ」を授業の中で味わうことができるように,そして,子ども自身が「学ぶ意欲」を高めることができるように,今後も子どもを支えていくことを継続していくことで「考える子」を育んでいきたいと思います。


学ぶ「教員集団」とは

10月にスタートした,二学期の研究授業期間が本日で終了しました。
昨年度までの一学期研究授業に加えて,今年度は二学期も全職員が研究授業を行いました。
私たちの研究は,「学ぶ楽しさを味わう授業」の積み重ねによって「考える子」が育まれるという考えに基づいたものです。
よって,私たちには日常的に実践を積むことが求められています。
約1ケ月の間に,全職員が研究授業を行うという非常に厳しい日程でしたが,教科部会所属の職員だけでなく,多くの職員が互いに授業を参観し,事後研で「気付き」を話し合いました。
研究授業を日常的に行うことは,授業者にとってメリットがあるだけではなく参観者にとっても自分の授業にフィードバックできる絶好の機会と考えています。
私たちが目指すものは,研究発表会の授業を成功させることではありません。
学ぶ中での子どもの姿を丁寧に見て,その意識を探り,教師としてできることを見つけ,子どもたちの学びを支えていくことです。
それぞれの教員がイメージする「学ぶ楽しさを味わう授業」を積み重ねてきたことで「考える子」が育まれてきたことをお伝えできればと思います。


要項・紀要の準備が整いました


4月 全職員が研究会までどう動けばいいのか見通しをもてるように
5月 紀要や要項にどんな情報を載せるか考えられるように
6月 書式を提案し
7月 紀要原稿を集め
8月 紀要原稿をチェック
9月 要項原稿もチェック
10月 紀要と要項が出来上がる
運営部が一番の仕事としてきた紀要・要項の準備がついに整いました。
研究発表会が有意義になるように発表会当日の動きもただいま調整中です。

多くの方々のご来校を心よりお待ちしております。


「考える子」と「学ぶ楽しさを味わう授業」


 「考える子」と「学ぶ楽しさを味わう授業」との関連性についてです。
 なぜ,「学ぶ楽しさを味わう授業」によって「考える子」が育まれるのかについて考えてみました。

 シンプルに言うと,「楽しいと,もっと~したくなるから」「楽しいと~に没頭するから」です。これは,学習に限らず他のいろいろな生活場面でも見られることです。「楽しいからもっと遊びたい。」「楽しいからもっとおしゃべりしたい。」...この当たり前のことが授業の中でどれだけ意識されてきたかを問い直してみる必要がありそうです。「ただ楽しければいい。」というものではなく,「楽しいからもっと考えたくなる」「楽しいから考え,考えるから楽しい」授業が大切と考えます。

 では,そのような授業とは...3つ考えてみました。
 1つめは「わかっていくこと」「探究すること」が「楽しさ」の中心になる授業です。この「楽しさ」は,本質に気付いていく中で得ることができる「学ぶ楽しさ」と言えます。「こういうことだったのか。」などの発見をする過程で,子どもは様々なことを考えます。教師が簡単に正解を言ってしまうような授業では,そのような「楽しさ」を味わうことができません。
 2つめは,友達の考えのよさに気付いて認め合う授業です。友達のよさに気付き,認めるに「考える」ことが不可欠になります。「なぜ,よい考えだと感じたのか。思ったのか。」という判断が存在するからです。子どもはここで考えます。
 3つめは,達成感や満足感を味わう授業です。「わかるようになった」「できるようになった」という達成感や満足感を味わうには,過去の自分と今の自分を比較して判断することがかかわってきます。まさに,自分について「考える」のです。そこから生まれる「考えたからわかった。できるようになった。」という自信は「もっとうまくなるには」「もっとわかりたい」といった新たな「問い」や「こだわり」へとつながります。

 このように考えると「本質に気付く」「他とよさを認め合う」「自分の成長を認識する」中には,「考える」行為が含まれていると言えます。また,そのような学びによって得られた「楽しさ」が「学ぶ意欲」につながると考えられます。
 つまり「学ぶ楽しさを味わう授業」を積み重ねることにより,「考える」ことが繰り返されるとともに「学ぶ意欲」が高まるのです。「学ぶ楽しさ」は「考える」ことの原動力となります。
 発見がある授業,知的好奇心が満たされる授業,受容感や安心感をもつことができる授業,満足感や達成感から自尊心や自己肯定感が育つ授業。このような「学ぶ楽しさを味わう授業」を積み重ねることによって「考える子」を育みたいと思います。