医療の現場で使われている情報ネットワークの一例として救急車を取り上げました。導入時に年間で605万件以上救急車が出動していること、患者のもとまで約8.5分で到着しているという事実を提示しました。そして、本時の課題を〈救急車にはどのような情報ネットワークが使われているか〉としました。
深めの部分ではまず、救急車が出動してから病院に着くまでに約39分かかっているという事実を提示しました。子どもたちは「意外と遅い」という反応でした。そして、時間がかかるのならば、病院に着くまでに救急車の中で患者情報を正確につかみ適切な処置をしておくことが大切であるという考えに行き着きました。その後、正確に患者の情報をつかむにはどうすれば良いかを考えてもらいました。意見が出た後に「とねっと」という情報ネットワークシステムを紹介し、本時の授業を終えました。
前回までは、主題について書きました。今回は、副題について書いていきます。
「未来を志向する子」を育むためには、どのような授業を目指していくとよいのでしょうか。
そのために、私たちは授業においての「決める」に着目してみました。
授業では教師も子どももたくさんの「決める」ことを行っています。例えば、どのような問いを追究するか「決める」。追究する方法を「決める」。自分の思いや考えをどのような方法で表出するか「決める」など・・・
しかし、私たちの授業をふりかえってみると「決める」ことの多くを教師が担っていることが多いような気がします。今まで、教師が決めていたことを子どもに委ね、子ども自身が決めることができるようにすることで、学びを自分事として捉え、学びに向かう姿勢が変わっていくのではないかと考えました。
また、子どもが「決める」ためには、自分がどのような姿になりたいのか、何をしたいのか、どのように解決していきたいのかなど、向かう先を自分で見出しておくことが必要となります。子ども自身が少し先の自分を思い浮かべ、意欲や自信をもってその先へ向かうことができると、よりよく「決める」ことができると考えてます。そして、よりよく「決める」ことが、未来を志向する子へとつながっていくと考えて副題を設定しました。
決める授業をデザインするとは,子どもが授業においてよりよく「決める」ことができるように,教師が単元や授業などのデザインを描いていくことです。
現在、各教科において「決める」授業デザインを検討しながら、研究授業を行っています。
研究授業については今後、本サイト上でもアップしていく予定です。
前回は主題の設定理由について書きました。
今回は、主題についてとその姿について書いていきたいと思います。
まず、主題「よりよい未来を志向する子の育成」について
「よりよい未来」とは,こうなりたいと願う自分や仲間の姿,生き方,価値観です。「志向する」とは,仲間と共に目指す先を見出し行動していくことと定義しました。つまり「よりよい未来を志向する」とは,他者によって「良い」とされている方向を目指したり,多数の人が「良い」と思うような先を目指して行動したりすることではなく,『自分がこうなりたい,こうしたい,という思いをもって具体的にその姿をイメージし,仲間と共に試行錯誤を繰り返しながら,目指す先へ行動していくこと。』と私たちは考えています。
では、「よりよい未来を志向する子」とはどのような子どもでしょうか。私たちは以下のような姿を子どもに求めることとしました。
自分なりの思いや考えを根拠をもって表出し 他と関わりながら
よりよいものへと変えて 行動する子
授業においてはまず,子どもが追究したい問いや課題について自分なりの思いや考えをもつことから始まります。その思いや考えを,子どもにとって「よりよい」と考えるものへと変容し行動する営みを授業に位置付けていくことが未来を志向することへつながると考えています。
子どもが「よりよい」ものへと自分の思いや考えを変容するには,自分なりの根拠をもち思いや考えを具体的なものにすること,それをもとに他者の思いや考えにふれたり,教材と向きあったり,情報を集めたりしてより思いや考えを明確にしていくことが必要だと考えています。
21世紀は知識基盤型社会といわれ、ICTの発達は私たちの生活を大きく変化させています。
インターネットの普及により、いつでもどこにいても瞬時に情報にアクセスすることができるようになりました。また、人工知能の台頭によって4割以上の職業が機械や人工知能にとって変わられるともいわれている。このような時代に対応するために、教育においてもさまざまな学びが提唱されています。
現代は定まった答えがない時代に突入しています。その中で必要とされる力は、みんなで情報をもちより、よりよい答えにたどりつくための力ではないでしょうか。知識量ではなく、後から必要に応じて活用できる力やコミュニケーションしながら自分で答えを見つける、問題を見つける力が求められているのではないでしょうか。
このような情勢に応じて、文部科学省においても次期学習指導要領で、子どもたちが学習内容を人生や社会の在り方と結びつけて深く理解し、これからの時代に求められる資質・能力を身に付け、生涯にわたって能動的に学び続けることができるよう「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて、授業改善に向けた取組を活性化していくことが重要であると述べています。
本校では、昨年度までの3年間「考える子を育む」を主題に研究を進めてきました。3年間の研究で、子どもは「問い」や「こだわり」をもちながら学ぶ過程で「学ぶ楽しさ」を味わうことが考える原動力となり「考える子」へと近づくことができました。このような子どもの姿から、より『考える子』へと成長するためは、子どもの「もっと○○したい」という「こだわり」を実現するための力が必要であると考えています。。
3年間の本校での研究の成果をふまえ、これからの社会の変化の中で子どもが生き抜いていくために必要な力は、子ども自身が進むべき未来図を描いたり、自分の生き方を見出したりしてそこへ向かおうと行動する力だと考えました。
そこで、研究の主題を「よりよい未来を志向する子の育成」と設定しました。
本校では,今年度から新しい研究主題の下で研究を進めていきます。
研究主題 「よりよい未来を志向する子の育成」
副 題 『「決める」授業をデザインする』
よりよい未来を志向するとは?
「決める」授業とは?
全体論が固まり次第、お知らせしていきます。